お薬を正しく使う
お薬を正しく使う
お薬を使うからには、正しく使いたい。そう思いますよね。
食前・食後・食間の正しい意味は?
飲み忘れ防止に役立つものは?
お薬の正しい保管方法は?
今回は、薬剤師の立場から、お薬を正しく使うための基本的な事柄についてご説明させていただきます。
目次
【食前・食後・食間について】
お薬を飲もうとした時、用法の「食前・食後・食間」などで迷う事はないですか?
「食後って、食事の何分後?」
「食間って・・・、いつ??」
簡単に説明すると、以下のようになります。
- 食前:食事の20~30分前のこと
- 食後:食事が終ってから20~30分後までのこと
- 食間:食事と食事の間(食事を終えてから約2時間が目安)のこと
◆食前とは
食前とは、「食事の20~30分前のこと」です。食べ物や胃酸の影響を避けたいお薬や、食べたあとの吐き気を事前に抑えるお薬、糖尿病の方が食事で高くなる血糖値を下げるためのお薬などは、食前に飲むことが多いです。
◆食後とは
食後とは、「食事が終わって20~30分後までのこと」です。食後の薬は、飲み薬の中で最も多いタイプです。主に食べ物と一緒のほうが吸収が良くなるような薬です。また、食事の後は胃の中に食べたものがあり、お薬の胃への刺激が少なくなるので、空腹時に飲むと胃を荒らす薬などは食後に飲むようになっています。
◆食間とは
食間を、「食事の最中」と勘違いされている方も多いようですが、食間とは「食事と食事の間のことで、食事を終えてから約2時間後が目安です。胃に食べ物が無い時の方が吸収が良いお薬や、胃の粘膜を保護するためのお薬などは食間に飲むようになっています。
◆用法(服用時間)を守ってお薬を飲みましょう
食前・食後・食間にはそれぞれ意味があり、食事によって変化する胃の状態に合わせて用法(服用時間)が決められています。これらの用法以外にも、食直前(食事の5分前~直前)や食直後(食後5分以内)、寝る前など、薬の特性に沿って薬の効果が最大限に発揮でき、副作用も少なくなるように、用法は決められています。
また、服用時間は薬の血中濃度(血液内に入っている薬の量)も考慮して決められています。血中濃度が低すぎると薬の効果が現れず、高すぎると副作用などの心配があります。薬を飲んでから数時間たつと薬の血中濃度は徐々に下がってきます。これが下がりきらない内に次の薬を飲むことによって、血中濃度を一定レベルに保ち、薬の効果を持続させることができます。特に喘息や不整脈などのお薬は、血中濃度を一定に保つ必要があります。
お薬を飲み忘れた際、次の時にまとめて2回分飲むことは、とても危険ですので絶対にやめましょう。血中濃度が上がりすぎて、副作用が現れる可能性が上がってしまいます。
このように、胃の状態や血中濃度を考慮して用法(服用時間)が決められていますので、しっかり守ってお薬を飲みましょう。
【お薬の正しい保管の仕方など】
お薬の保管には、いくつかの注意点があります。
◆高温・多湿・直射日光を避ける
お薬は、光や温度、湿気などによって効きが弱くなってしまう場合が多いです。
保管方法に指示が無い場合は、湿気、直射日光、高温を避け、室内で保存します。
・直接日光が当たる場所は避ける。
・駐車中の車の中は避ける。(50℃~80℃になる事がある)
・暖房機器の近くは避ける。
◆冷所保存の指示がある場合は冷蔵庫で保管する
主にシロップ剤、目薬、坐薬、未開封のインスリンなどで、冷所保存の指示がある場合があります。そのような時は、冷蔵庫で保管しましょう。
凍らせないように注意が必要です。
◆古いお薬は捨てる
お薬には使用期限があります。使用期限が過ぎたら捨てるようにしましょう。
箱やラベルに書いてある使用期限は、未開封の場合のものですので、開封後はなるべく早めに使うようにしましょう。
また、使用期限内でも見た目や味がいつもと違うと感じたら、使用を控えましょう。
◆子供の手の届かないところへ保管する
小さい子供はなんでも口に入れたがります。
お薬は、小さい子供の手の届かない所へ保管しましょう。
誤飲事故は、親が家事で忙しい午前8時~10時、午後6時~8時に多発しています。
子供の誤飲事故の約17%が医薬品・医薬部外品とも言われています。
◆お薬の容器を移し替えない
お薬を、もともと入っていた容器から別の容器に移し替えたりすると、お薬の種類や使い方がわからなくなってしまう事があります。
誤用による事故を避けるため、容器の移し替えはやめましょう。
【お薬の飲み忘れを防ぐには?】
お薬の飲み忘れを防ぐ方法をご紹介します。
◆お薬の一包化
一包化とは、処方された複数のお薬を、朝・昼・夕などの用法(飲むタイミング)に合わせて一まとめにしてお渡しすることです。飲み忘れや誤って飲んでしまう事を防ぎ、安心してお薬を飲むことができます。
一包化では、用法だけでなく、患者様の名前や服用する日付、お薬の名前などを印字することもできます。
(一包化には医師の指示が必要ですので、医師や薬剤師にご相談ください。)
◆お薬カレンダー、お薬ボックスの活用
カレンダー形式で、日付や曜日、服用のタイミングごとにお薬を分けてセットすることができる「お薬カレンダー」を使い、お薬を管理することができます。
お薬カレンダーには1週間分や2週間分、1日3回の服用・4回の服用、ポケットのまちの有無など、様々な種類があります。
また、ボックス形式のお薬ボックスもありますので、ご自宅でお薬を保管するスペースに合わせて、形状を選びましょう。
【独自に判断しないこと】
処方されたお薬は、患者さんの体調や症状などに合わせて医師が処方したものです。
同じような症状の時に自分の判断で使ったり、他の人に勧めたりしてはいけません。
自分の判断だけで使用すると効果がないだけではなく、思わぬ副作用が出たり症状が悪化したりすることがあるので、絶対にやめましょう。
【最後に】
今回は、お薬を正しく使うための基本的な事柄について書きました。
参考になったでしょうか?
お薬を正しく使う事はとても大切ですね。
また、色々な情報を発信していきます。
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